相撲と土俵の関係とは?土俵にまつわる疑問に答えます

この記事では相撲の舞台である「土俵」について少し深く踏み込んでみたいと思います。

土俵は、力士たちの技と力がぶつかり合う戦いの場であり、相撲の起源の時から少しずつ変化し現在に至るのです。

この記事を通じて、相撲に興味を持った方だけではなく、すでに相撲ファンの方にも土俵に関しての新しい発見を楽しんでいただければと思います。

目次

相撲における土俵の基本

土俵は相撲において取組の戦いの場です。

正方形の枠の中に円形の競技エリアが設けられ、これが格闘技で例えるなら試合のリングとなります。

土俵のサイズや形状、それに使用される材料には、古くからの規則と伝統が色濃く反映されています。

ここでは、土俵の基本的な構造とその歴史的背景を解説します。

土俵の形の意味や成り立ち

現在の土俵の形は丸い形ですよね。

ですが土俵には実は丸型だけでなく、四角い角土俵や盛岡藩での南部相撲では陰陽道が色濃く反映された八角形の形もありました。

また起源を辿れば、原初の相撲では土俵そのものがない中で、力比べをしていました。

ですが神事としての相撲や興業化が進むにつれて、相撲を観戦するのに自然と人の輪ができるようになり、それが現在の円形の土俵の形になったと言われています。

土俵のサイズや高さ

土俵のサイズと高さは、厳密な規定に基づいて設定されています。

通常、土俵の直径は約4.55メートルで、高さは地面から俵の上部までが60センチ、俵を除けば55センチです。

これらの寸法は、力士が十分に動きやすく、かつ安全に試合を行うための最適なバランスを保つために決められています。

土俵が広くなると投げ技や押し技が多くなり、狭くなると突き技などが増えるそうです。

そのバランスを考えた結果として現在のサイズに落ち着いているのだとか。

土俵の高さは、観客にとって見やすく、また力士たちにとって戦いやすい高さに設計されています。

土俵の土について

土俵の土は「荒木田土」と呼ばれる特別な種類の土が選ばれます。

過去には荒川区の荒木田原の土を使っていたそうですが、採れなくなったことから、現在では埼玉県川越市の荒木田土が使われています。

荒木田土が使われる理由は、力士が滑りにくく、ヒビが入りにいためなのだそうです。

俵の土は表面10センチほどが削り取られ、定期的に入れ替えられ、常に最適な状態が保たれるように管理されています。

土俵の俵について

土俵の周囲を囲む俵は、試合のルール上の重要な役割を果たしています。

力士がこの俵を越えると敗北となるため、俵は試合の勝敗を左右する境界線となります。

俵は精密に積まれ、試合中に崩れないようにしっかりと固定されています。

土俵の俵は、内側の円形の勝負俵と、東西南北に切れ目を入れ、一俵分ずつ外側に置いた徳俵(とくだわら)から構成されます。

徳俵は土俵際まで追い込まれた力士が、文字通り一俵分だけ徳をするために名付けられたもので、もともとは土俵の雨を流すための構造の名残です。

本来は米俵から作られていたそうで、サイズは米俵のおよそ3分の1であり、中に玉砂利が敷き詰められています。

土俵上の屋根と房について

土俵上の屋根は神聖な場を表すためのもので、四方の房は季節とそれぞれの方角を守る神である四神獣を象徴しています。五穀豊穣の祈る神事であったことに由来しているとされています。

  • 青:春と東方を守る青龍
  • 赤:夏と南方を守る朱雀
  • 白:秋と西方を守る白虎
  • 黒:冬と北方を守る玄武

屋根は、相撲が元来神事であったことに由来しており、神聖な競技であることを示す他、屋外に設置された屋根では、土俵そのものを雨風から守る役割もあります。

なお大相撲の屋根は「屋形」と呼ばれる吊り屋根で、神聖な伊勢神宮が由来である神明造りです。

相撲の土俵の作り方

土俵の作り方は伝統的な技術が要求されます。

土俵作りは専門の技術者によって行われ、土の配合や圧縮、成形に至るまで細心の注意が払われます。

この工程は、相撲の取組を行う上で欠かせない要素であり、土俵の完璧な状態を保つためには高い技術と経験が必要です。

相撲の土俵と補修(手入れ・メンテナンス)

土俵は定期的なメンテナンスが不可欠です。

試合が行われるごとに土が移動したり、俵が崩れたりするため、これらを修復し、常に最良の状態を保つ必要があります。

また、土俵の土は上部が削り取られて定期的に入れ替えられ、力士たちが安全に戦えるように管理されています。

土俵のメンテナンス作業は、相撲の伝統と安全を守るために重要な役割を果たしています。

なお面白い豆知識として、土俵のメンテナンスには日本のビール瓶、とくに頑丈で割れにくいアサヒビールの瓶が使われているそうで、このビール瓶で土を叩いて土俵がならされます。

海外での巡業の際にも必ずビール瓶を数本持っていくそうですよ。

まとめ

相撲の土俵は、単なるスポーツの競技場以上の意味を持っています。

その構造やメンテナンスには、相撲の伝統や精神が反映されており、力士たちの技と力の戦いを支える重要な役割を果たしています。

この記事を通じて、相撲の舞台である土俵の深い魅力に触れ、相撲の世界をより豊かに感じていただければ幸いです。

これからも、相撲という美しい伝統文化を大切にしていきましょう。

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