大相撲のルールを徹底解説!初心者にもやさしく解説
相撲、それは単なるスポーツ以上のもの。
もともと神事を起源とした成り立ちを持つことから、一般的なスポーツや格闘技とは一線を画します。
日本の伝統と文化が息づくこの競技は、相撲の独自のルールと作法で成り立っており、それが面白さであり魅力でもあるのです。
相撲初心者の皆さんに向けて、その奥深いルールの世界をやさしく詳細に解説します。
最初にご紹介するのは、試合開始前の重要な作法です。
相撲のルール①取組前の作法
相撲の試合、つまり取組が始まる前に行われる作法は、相撲の世界における精神性と敬意を表します。
四股
力士が土俵に上がると、まずは両者が四股を踏みます。
これは自身の身体を鼓舞し、相手に対する敬意を示す動作です。
四股(しこ)は、大相撲において重要な役割を果たす儀式的な動作です。
力士が試合前に行うこの動作は、以下のいくつかの目的を持っています
身体の準備と鼓舞
四股を踏むことで、力士は試合に向けて身体を温め、筋肉をほぐします。
取組前に柔軟性や瞬発力を高めるための準備です。
いわゆる準備運動ですね。
精神的な集中
四股を踏む際には、力士は精神を集中させ、試合に向けて心を整えます。
さまざまスポーツでも同様ですが、試合の前に常に同じルーティンを行うことで、集中力を高められることが分かっています。
この行為は力士が自分自身と対話し、内面的な力を引き出すための時間でもあります。
邪気・悪霊の払い
統的な意味合いとして、四股を踏むことには邪気・悪霊を払い、土俵を清めるという神聖な意味が込められています。
これは相撲が神事として行われていた歴史を反映しています。
相撲が元来神事であったことに由来しています
観客へのアピール
四股は、観客に対する力士の身体能力や気迫を示す効果的な手段です。
力士の存在感や気合いを、観客に直接的に伝えるための動作とも言えます。
これらの理由から、四股は単なる身体運動以上の意味を持ち、相撲の試合において重要な役割を果たしています。
力水
相撲における力水とは、力士が土俵に上がる前に、土俵の四隅にある水槽に手を浸して行う儀式です。
力水は、古くから相撲の伝統的な儀式として行われており、土俵の邪気を払い、勝利を祈願するという意味合いがあります。
具体的には、以下のような意味合いがあります。
土俵の清め
力水の水は、神聖な場所である土俵を清め、邪気を払うという意味合いがあります。
土は古来から穢れや邪気の象徴とされており、水は清めや浄化の象徴とされています。
勝利への祈願
力水は勝利への祈願や相手の邪気を払い、勝利に導くという意味合いもあります。
水は魔除けや厄除けの意味合いも持っています。
相撲の伝統
力水は相撲の伝統的な儀式として、力士にとっても試合前の心身の準備や、集中力を高める意味合いもあります。
力士は力水を浴びながら試合への意気込みや、勝利への強い気持ちを新たにするのです。
また、力士や部屋によって、力水に特別な意味を持たせている場合もあります。
たとえば、力水に「勝ち水」と呼ばれる、勝利した力士が土俵から持ち帰った水を用いる場合や、力水に「魔よけ」と呼ばれる魔除けや厄除けの効果があるとされるものを入れる場合などがあります。
力水、相撲の伝統や文化を象徴する儀式であり、今もなお大切にされています。
なお、力水の水は、一般的には塩水や水道水が用いられます。
塩まき
続いて幕下以上の力士は塩をまき、土俵を清めます。
この儀式は、悪霊を払い、怪我を避けるための古来からの習慣です。
相撲における塩まきは、試合前に力士が行う伝統的な儀式です。
この行為にはいくつかの重要な意味があります。
塩巻きをできるのは幕下以上の力士だけ
土俵の清め
最も基本的な意味は、土俵を清めて邪気や悪霊を払うことです。
古くから塩は清浄なものとされ、神聖な場を清めるために使用されてきました。
土俵は神聖な場所とされており、相撲は元々神事の一環として行われていたため、この伝統はその名残です。
精神的な集中
力士にとって、塩まきは試合に集中するための一環としても機能します。
四股と同じで試合前のルーティンですね。
ルーティンを通じて、力士は自身を試合モードに切り替え集中力を高めます。
観客へのアピール
塩まきは観客にとっても楽しみにしている所作の一部であり、力士の個性やパフォーマンスを楽しむ要素となっています。
力士がどれだけの塩をまくか、そのスタイルは力士によって異なり、ファンの注目を集めます。
これらの理由から、塩まきは相撲の試合において、単なるルーチンを超えた重要な役割を果たし、相撲の伝統と文化を象徴する行為となっています。
この取組前の作法は、相撲がただの格闘技ではなく、心技体を総合して競われる深い文化を持つことを表します。
相撲のルール②勝敗はこうやって決まる
相撲の勝敗の決定は、シンプルでありながら、力士の技術と戦略が鍵を握る要素があります。
基本的には、力士が相手を土俵外に押し出すか、相手の体の一部が土俵内で地面に触れた時に勝利となります。
相撲の勝敗は、比較的シンプルながら明確なルールに基づいて決定されます。主な勝敗の決定方法は次のとおりです。
土俵外に出る
相手を土俵の外に押し出すか、相手が土俵の外に出た場合、残った力士の勝利です。
土俵は円形であり、この境界線を越えることは負けとなります。
地面に触れる
力士が土俵内で何らかの部位(足以外)が地面に触れた場合(例えば手、膝、胸等)、その力士は敗北となります。
特に手が地面に触れることはよくある敗北のパターンです。
禁じ手を使う
禁止されている技(禁じ手)を使った場合、その力士は失格となり負けとなります。
その他のルール違反
他にも特定のルール違反(例えば立ち合いの不正など)があった場合には、その力士が敗北することになります。
相撲の試合は非常に速いペースで進行するため、勝敗が決する瞬間は見逃さないようにしたいですね。
だから相撲は面白い
力士は相手の体重や力、得意技を見極め、自らの得意な技を駆使して試合に挑みます。
たとえば、体重が重い力士は相手を土俵外に押し出す力攻めを得意とし、体が軽い力士は俊敏な動きで相手を翻弄することが多いです。
相撲の試合はこれらの戦略的な駆け引きによって、毎回異なるドラマが生まれます。
これが大相撲が人気であり続ける理由だと言えるのではないでしょうか。
相撲のルール③禁止技(禁じ手)
相撲においては、公平で安全な試合を保証するため、いくつかの禁止技(禁じ手)が定められています。
これらのルールは、力士の身体的な安全を守ると共に、相撲の伝統と品格を保持するためにやってはならないことです。
主な禁じ手には、相手の髪を掴む「つかみ髪」、目を突く「目潰し」、喉を突く「喉突き」、股間を攻撃する「金的」などがあります。
これらの技は非常に危険であり、相手に重傷を負わせる可能性があるため、厳しく禁止されています。
相撲は神事がルーツのスポーツですから、単なる力比べではなく、技術や戦略、そしてが誠実さがとても大切にされる競技です。
禁じ手のルールは、その精神を守るために不可欠な要素なのです。
相撲のルール④暗黙の了解
大相撲には、公式のルールブックには明記されていませんが、長い伝統と習慣によって形成された「暗黙の了解」がいくつか存在します。
これらは、相撲の精神や文化を反映したもので、力士や観客によって共有されています。
余計な挑発やアピールを避ける
勝利した力士が敗れた相手に対して過度なアピールや挑発をすることは、相撲界では一般的に好まれません。
敗れた力士に対する敬意を保ち、謙虚な態度を取ることが期待されます。
敬意を表す行動
試合前後に行われる一連の儀式(例えば、土俵に上がる際の塩まきや、試合後の礼)は、相手や観客、そして競技自体への敬意を示すためのものです。
これらの行動は、相撲の精神を体現しています。
技の使用に関する暗黙の了解
一部の技は公式には禁じられていないものの、あまり好ましくないとされることがあります。
たとえば、いわゆる「変化」(相手の突進を避けること)は、技術として認められているものの、度々行うと「卑怯な戦術」と見なされることがあります。
これらの暗黙の了解は、相撲の競技としての側面だけでなく、その文化的・精神的な側面をも反映しています。
相撲には、勝敗を超えた価値と尊厳があり、これらの暗黙の了解はその一部です。
相撲のルールまとめ
大相撲の魅力を存分に楽しむためには、その独特のルールと作法を理解することがスタートです。
取組前の作法から始まり、勝敗の決定方法、禁止技の存在、そして暗黙の了解に至るまで、相撲は単なる力の競い合いだけでなく所作の全てを含めて楽しむもの。
なぜなら心技体を総合して競われる、神事をルーツに持つ深い文化と伝統を持つスポーツだからです。
力士たちは、自らの身体を鍛え上げるだけでなく、相撲の精神と品格を重んじることが求められます。
相撲を観戦する際には、これらのルールや作法、そして力士たちの間に流れる無言のコミュニケーションにも注目してみてください。
そこには、単なる勝敗以上のドラマと、日本の文化が息づいています。
相撲の奥深い世界を理解することで、あなたもこの伝統あるスポーツの真のファンになることができるでしょう。