相撲の廻し(まわし)について徹底解説!起源やその歴史とは?
相撲の世界に欠かせない「廻し」について、わかりやすく解説します。
廻しは、相撲の試合で力士が身につける唯一の装束で、その起源や歴史はとても興味深いものです。
相撲の試合を見るとき、廻しの役割や歴史を知ることで、観戦の楽しみ方も増えるかもしれません。
たとえば練習で着用している廻しの色に、意味があることは知っていましたか?こうした小さな知識が相撲の観戦をさらにおもしろくするのです。
相撲の廻しとは?
相撲の廻しは、力士が練習や試合で身に着ける厚い布製の着衣です。
相撲の取組は廻しを掴み行います。
そして廻しを掴む位置や指の掛け方一つが相撲の勝敗を決するほど重要です。
つまり廻しがなければ、相撲の取組は成立しません。
廻しの長さや幅には基準があり、力士はこれを身体に何回も巻き付けて固定します。
そして、廻しは試合中の様々な技の基本となり、力士が相手を投げたり、持ち上げたりする際に重要な役割を果たします。
また、廻しは力士自身を象徴するものでもあり、色が力士各々で異なるのです。
相撲の廻しの起源と歴史
相撲の廻しの起源は古く、江戸時代に遡るとされます。
古代日本では、神事や儀式の一環として相撲が行われており、その際に簡単な衣服を身につけていました。
廻しは、そうした儀式から発展したものと考えられています。
時代が進むにつれて、廻しは形や素材を変え、現代の相撲における重要な装束となりました。
江戸時代になると化粧廻しが用いられるようになりましたが、動きの妨げになることから前垂れ(前面の装飾された部位)が簡略化され、現在の廻しの形となったそうです。
現在でも当時の面影を残すのは、前にある紐状の「下がり」と呼ばれる装飾です。
下がりは化粧廻しの前垂れの部分に当たります。
一見すると気がつくことのない意匠も、実は歴史や意味があるものなのですね。
相撲の廻しの素材
相撲の廻しは、一般的には木綿で作られています。
さらに関取以上となれば「締込(しめこみ)」と呼ばれる絹から織られた、より質の高い素材が使われています。
これらの素材は、強度が高く、力士が試合中に激しい動きをしても耐えられる点が特徴です。
また、廻しの厚みや質感は、力士にとって重要な要素であり、それによって握りやすさや動きやすさが変わります。
廻しは単なる装束ではなく、力士の技術を支える大切な道具なのです。
相撲の廻しの長さ
相撲の廻しの長さは、力士の体型に応じて異なりますが、一般的には概ね6メートル程度の長さです。
廻しの幅は約45センチメートル前後であり、折ることで幅を調整して体へ巻き付けます。
長さが十分でないとしっかりと固定できず、試合中に廻しがずれる恐れがあるため、自分の体に合った長さを選ばなければなりません。
長過ぎても短過ぎてもダメということですね。
相撲の廻しの色について
相撲の廻しは様々な色で作られていますが、一般的には黒や濃紺が多く使用されます。
なお稽古では白い廻しは、十両以上の力士だけが身に付けることを許され、幕下以下の力士は黒い廻しです。
また相撲協会では、黒か紺の廻しが規定していますが、実際には黙認されている状態だそうです。
そのため取組では、横綱や大関の力士が、時に特別な色や模様の廻しを身につけることもあります。
これは、その力士の地位や個性を表すためです。
例えば、横綱の土俵入りの際には、豪華な装飾の廻しを着用することがあります。
廻しの色やデザインは、力士の個性や強さを象徴する要素として、大相撲の見どころの一つです。
相撲の廻しの値段はどれくらい?通販はできる?
相撲の廻しの値段は、素材や品質によって異なります。
一般的には学生相撲や入門したばかりの力士の廻しは数千円、幕内力士の廻しともなれば数百万円と、ピンからキリまでといったところです。
特別な装飾が施された廻しや、有名な力士が使用した廻しは、より高価になることもあり、横綱や大関の特別な仕様・デザインの施された廻しは数千万円から億を超えることもあるそうです。
なお、一般の人が廻しを購入することは珍しいですが、相撲ファンの中にはコレクションとして廻しを購入する人もいます。
現在では通販で廻しを購入することも可能で、専門の通販サイトや相撲関連のショップだけでなく、Amazonや楽天などのショッピングモールサイトでも取り扱われています。
廻しを購入することで、相撲の文化をより深く理解できるかもしれませんね。
廻しの付け方は?痛いのは本当なの?
廻しの付け方は、力士によって少し違いがありますが、基本的には、股の前から下を通し、後ろへ通した後に腰に数回巻き付け、最後に後ろで結ぶ方法です。
基本的には二人一組で身に着けるのが一般的ですが、人によっては器用に一人で身に着けてしまう力士もいます。
なお、廻しは非常に堅く、しっかりと固定する必要があります。
初めて廻しを付ける際、肌が廻しの厚さや硬さに慣れていないため、多少の痛みや違和感を感じることがあるそうです。
しかし、廻しを装着することへの慣れや廻しそのものが馴染むことで痛みは軽減され、力士は廻しを自分の体の一部として身に着けることができるようになります。
廻しの下には何か穿くの?
一般的に、力士は廻しの下に何も穿きません。
廻しは、力士が試合中に唯一着用する装束であり、その下に下着などを穿くことはありません。
これは、相撲の伝統的なルールや決まり事です。
廻しは相撲の競技を相撲たらしめる装束であり、試合中の動きを妨げないだけでなく、廻しを掴むことによる技や駆け引きのために不可欠であり、下に何かを穿く必要がないのです。
廻しが取れることはないの?不浄負けと廻し待ったについて
相撲の試合中に廻しが完全に取れることは、極めて稀です。
廻しはとても丈夫に作られており、まず千切れることはありません。
さらに力士が丁寧に締め込むことから、通常は取れることはほとんどありません。
もし廻しが取れた場合、大変な恥とされ即刻「不浄負け」と呼ばれる負けとなります。
そのため力士は廻しの締め方には非常に慎重であり、試合前には廻しの状態を念入りにチェックするのです。
なお廻しが緩んだり、出血を伴ったトラブルが発生した場合は、行司の判断で「廻し待った」と呼ばれる取組の中断が行われます。
廻しを付けた後にトイレに行きたくなったらどうするの?
力士が廻しを付けた後に、トイレに行きたくなった場合は一体どうするのでしょうか。
前述通り廻しは、緩んだり外れたりしないようにきつく締め込まれます。
そのためかんたんに外すことはできません。
しかし、実は廻しは「前袋」と呼ばれる前から股下、後ろにかけての部位をかんたんに外すことができるようになっており、トイレに行きたくなった場合でも問題なく用を足すことができます。
まとめ
解説の通り、相撲の廻しにはさまざまなトピックがあります。
力士がただ身に着けているだけのように見える廻しにも、長い歴史や現在に至るまでの変化があり、色や素材におけるルール、締め込み方や取組中に外れた場合の取り扱いなど、たくさんの面白い知識があることを理解いただけたのではないでしょうか。
相撲は千年以上の長い歴史があります。
一つひとつの物や所作、作法までの全てに意味があるのです。
今よりももっと相撲を楽しむために、ぜひ多くの相撲に関するを知識を知ってみましょう。