どんな技?相撲の寄り切りについて解説します
今回は、大相撲でよく見かける決まり手となる技「寄り切り」について、大相撲に興味を持たれたあなたにわかりやすく解説します。
寄り切りは、相撲の基本的な決まり手の一つです。
力士たちの戦いで頻繁に使われる技で、相撲の土俵際での駆け引きの醍醐味を感じさせる重要な技の一つ。
それでは、この魅力的な技について一緒に学んでいきましょう。
決まり手の寄り切りとは?読み方は?
寄り切り(読み方:よりきり)は、相手の廻しを掴み、抱え込んで土俵の外へ押し出す技です。
この技では、力士が相手の廻しをしっかりと掴み、体重を活かしながら相手を土俵外へと導きます。
寄り切りは、力と技術の両方が要求される決まり手で、力士のパワーとバランス感覚が不可欠だといえるでしょう。
この技を決まり手とするためには、上半身と下半身の両方の力と相手の動きを読む洞察力が必要です。
寄り切りと押し出しの違い
寄り切りと似た技に「押し出し(読み方:おしだし)」がありますが、この二つは異なる技です。
押し出しは、主に手を使って相手を土俵の外へ押し出す技。
一方で、寄り切りは相手を廻しを持つことで抱え込み、土俵外へ出す技です。
押し出しは上半身の力が中心となるのに対し、寄り切りは全身の力を使って相手をコントロールします。
両者は、力士の技術や戦略によって使い分けられます。
大相撲で寄り切りを得意技とする力士
寄り切りは決まり手として代表的な技の一つですから、大相撲には寄り切りを得意とする力士が数多くいます。
これらの力士は、強靭な下半身と廻しをとても細かい精度で掴む技術を持ち合わせており、寄り切りを使って多くの勝利を収めているのです。
寄り切りを得意とする力士は、相手の動きをよく読み、指一本分で全く変わると言われる絶妙な位置で廻しを掴み、戦略的に相手を土俵の外へ寄り切ります。
王道の技であることから、特に玄人のファンにとっては、廻しを掴む位置で唸らせる見ごたえのある技だと言えるでしょう。
大相撲で寄り切りを得意技とする力士は、以下のとおりです。
- 琴ノ若(佐渡ヶ嶽部屋)
- 若隆景(高砂部屋)
- 照ノ富士(伊勢ヶ濱部屋)
- 正代(木瀬部屋)
- 貴景勝(常盤山部屋)
- 大栄翔(追手風部屋)
- 翔猿(追手風部屋)
- 碧山(大嶽部屋)
- 安芸乃島(高田川親方)
- 貴ノ花(貴乃花親方)
- 朝潮(朝潮親方)
- 大乃国(大乃国親方)
- 大鵬(大鵬親方)
- 北の湖(北の湖親方)
- 琴風(琴風親方)
- 双葉山(双葉山親方)
寄り切りは、力士の体重を活かした技であり、体格や体重に恵まれた力士に向いています。
現役の力士の中では、琴ノ若が最も寄り切りを得意としています。
琴ノ若は、身長189cm、体重177kgの恵まれた体格を活かした、強力な寄り切りを武器にしています。
2023年3月場所で大関に昇進し、今後も寄り切りで活躍が期待されています。
また、若隆景も寄り切りを得意としています。
若隆景は、身長182cm、体重132kgの長身で、鋭い寄り切りを武器にしています。
2022年11月場所で大関に昇進し、琴ノ若とともに、大相撲の未来を担う力士として注目されています。
引退した力士の中では、安芸乃島が最も寄り切りを得意としていました。
安芸乃島は、身長175cm、体重158kgの恵まれた体格を活かした、力強い寄り切りを武器に、1991年から1999年まで10年連続で金星を獲得するなど、活躍しました。
寄り切りは、大相撲の伝統的な技であり、今後も多くの力士が得意技として魅せてくれるはずです。
寄り切りの語源について
寄り切りという言葉の語源は、相撲の技術的な動きに由来しています。
「寄る」という言葉は、力士が相手に密着して体を動かす様子を表し、「切る」とは相手を土俵から外に出す行為を意味します。
つまり、寄り切りとは相手に寄り添いながら土俵の外へ押し出す技のことを指す言葉です。
この技は、相撲の基本中の基本であり、力士の体力と技術の両方が試される決まり手として、大相撲の歴史と伝統的な技の中でも、重要な位置を占めています。
株の取り引きの「寄り切り」
「寄り切り」という言葉は、株式市場においても使われますが、意味は全く異なります。
株の取引における寄り切りは、株式市場の開始時に成立する注文のことを指し、市場が開く前に出された注文が一定のルールに基づいて約定することを意味します。
この言葉は、相撲の寄り切りとは全く異なる分野で使われており、金融市場の専門用語としての側面を持っています。
このように同じ言葉でも、使用される文脈によってまったく異なる意味を持つことがあります。
語源は相撲が由来であることは間違いないと思われますが、なぜこの言葉が使われるようになったのかは分かっていません。
寄り切りを英語・中国語にするとどうなる?
相撲の寄り切りを英語に訳すと、そのまま「yorikiri」と呼ばれることもありますが、「Push Out」、「Thrust Out」、「force out by body」という表現が近いかもしれません。
これは、力士が相手の体に寄り添いながら土俵外へ押し出す様子を表しています。
中国語では、「逼出场外」と訳されることがあります。
この表現は、力士が相手に密着して土俵外へ出す技の様子を的確に表しています。
いずれにしても、相撲独特の技名を外国語で分かるように翻訳するのはなかなか難しいものですよね。
まとめ
相撲の寄り切りは、大相撲の基本技術の一つであり、力士の体力とテクニックが試される重要な決まり手です。
この技の語源は、相撲の試合中の動きに由来しており、「寄る」と「切る」の二つの要素から成り立っています。
寄り切りは、相手に寄り添いながら土俵外に押し出す技であり、相撲の決まり手の基本でありながら、勝つためには必須の技術だと言えます。
その技の特性から、体重とパワーのある大柄の力士が得意とすることが多く、最もよく見られる決まり手の一つでもあるのです。
力士が土俵際で駆け引きを行い、寄り切りで勝つ瞬間が理解できれば、大相撲の試合をさらに楽しむことができるでしょう。