大相撲の弓取式とは?歴史と由来を解説します
大相撲の試合が終わると、土俵上で行われる美しい儀式があります。
それが「弓取式」です。
この儀式は、大相撲の一日の締めくくりとして、長い歴史を持ち、多くの意味が込められています。
特に最近大相撲の魅力を知ったファンの皆さまへ、弓取式の魅力とその背後にある歴史や文化をやさしく解説します。
この美しい伝統を知ることで、大相撲の奥深さをより一層感じていただけるはずです。
弓取式とは?意味はあるの?
弓取式は、大相撲の本場所の各日が終了する際に行われる伝統的な儀式です。
式では、弓取りと呼ばれる力士が、大きな弓を持って特定の所作を行います。
この儀式には、勝者の舞を演ずることにあります。
また、その日の相撲が無事に終わったことを祝う意味合いもあります。
元来は千秋楽のみで行われていたそうで、三者揃い踏みの大関2人のうち勝者が行っていましたが、現在では幕下力士が行うようになったそうです。
弓取式の所作
弓取式では、弓取りが土俵上で様々な所作を見せます。
これには、弓を天に向けて振り上げる動作や、四方に向けて弓を振る動作などが含まれ、それぞれに意味があります。
最後に弓を左手で肩に背負い、勝利を祝う四股を踏み終わらせます。
また弓取式は勝利した力士の代わりに行うことから、東の力士が勝者なら東から土俵へ上がり、西の力士が勝者なら西から土俵へ上がる決まりです。
長い歴史を持つことから、弓取式の所作も相当に洗練されており、非常に美しいと感じることでしょう。
この所作一つ一つには、力士たちの技術だけでなく、彼らの精神や相撲への敬意が込められています。
弓取式の由来と歴史
弓取式の起源は古く、もともとは平安時代の相撲節会で、勝者の立会役が矢を背負って勝利の舞を演じたことが起源だそうです。
その後は本場所の千秋楽でのみ、三者揃い踏みのあとに大関が行っていたそうですが、千秋楽で幕内の取組がなくなってしまったことで幕下力士が担うことになったとのこと。
また現在では本場所中、毎日行われるようになりました。
現在の弓取式の所作は、第2代横綱・谷風が上覧相撲での舞が原型となったそうで、相当な昔から脈々と受け継がれてきた儀式であることがわかりますね。
弓取式を行う力士の選び方
弓取式を行う力士は、相撲協会によって特に選ばれるわけではありません。
通常、この役割は幕下またはそれ以上の位の力士の中から、特に弓の扱いに優れ、所作が美しいと認められた力士が務めることが多いです。
なおかつ横綱と同じ部屋で、幕下以下の力士と決まっています。
仮に横綱がいない場合は、大関が横綱の代わりとなります。
弓取式を行う力士は、その儀式に必要な所作や、弓の扱い方を習得するための特別な練習が必要です。
この重要な役割は、力士にとって大きな名誉であり、彼らのキャリアの中で特別な経験となります。
かつてはジンクスとして、弓取式を担った力士は関取になれない、と言われたこともありましたが、次々とこのジンクスを覆す力士が登場し、昨今ではあまり言われなくなりました。
弓取式を行う力士の給料
弓取式を行う力士の給料には、1場所につき9万円程度のお手当が支給されるそうです。
弓取式は、相撲協会が定める公式の役職ではなく、あくまで伝統的な儀式の一環として行われるため、大きな金額ではありません。
それでも給料のない幕下力士にとっては、貴重な収入となることに違いはなく、うれしい役割なのではないでしょうか。
弓取式を務めることは、力士にとって大きな栄誉であり、その力士の名声や人気に影響を与えることがあります。
結果として、スポンサーやファンからの支援を受けやすくなるなど、間接的な経済的メリットが生まれることもあるでしょう。
弓取式を行った歴代力士
歴代にわたって、多くの力士が弓取式の重要な役割を務めてきました。
これらの力士は、それぞれが相撲界での卓越した技術はもちろん、弓取式に必要な格別の技能と美意識を持って選ばれました。
- 廣嶋
- 滝瀬川
- 新谷
- 祓川
- 豊田
- 清水井
- 武勇山
- 大岩山
- 日和山
- 御神山
- 大田山
- 緑岩
- 十三ノ浦
- 若熊
- 雲仙山
- 克田山
- 柏錦
- 栃櫻
- 大地
- 陸前
- 太光山
- 岡部
- 板倉
- 福錦
- 江戸の華
- 秀の龍
- 香久山
- 花武蔵
- 鳳龍
- 六甲山
- 巴富士
- 秀ノ花
- 北斗旭
- 高見若
- 高見錦
- 若風
- 新明
- 貴ノ湖
- 武蔵富士
- 皇牙
- 男女ノ里
- 千代の花
- 祥鳳
- 聡ノ富士
- 春日龍
- 将豊竜
- 勇輝
歴史的に有名な弓取の力士には、豪快な所作で知られる力士や、弓の扱いに独自の美を加えた力士など、様々なスタイルの力士がいます。
これらの力士は、弓取り式を通じて、大相撲の伝統と文化を後世に伝える重要な役割を果たしてきました。